歌舞伎町タワーは「噴水」の見立て。ロゴの音まで水つながり
歌舞伎町で見上げるあのタワー、外観のモチーフは「噴水」だ。東急歌舞伎町タワーは、水が空へ伸びる姿や、透明な水と白いしぶきの重なりを建物のデザインに取り入れている。ホテルや映画館へ向かう時には通り過ぎてしまいそうだけれど、建物そのものに、街の水の記憶を読む手掛かりがある。
2023年2月の東急などの発表によると、背景にあるのは、歌舞伎町周辺にかつて川が流れていたことや、水を司る神として歌舞伎町弁財天が祀られていること。水というテーマは全体の形だけで終わらず、波を重ねた文様「青海波」にもつながる。窓のセラミックプリントや低層部の外壁、アーチ窓などで表現したという。遠くから高さを眺めるのと、近くで細部を見るのとで、拾える話が変わる。
さらに同じ噴水のイメージは、耳で聞く部分にも続いている。公式サイトがブランドロゴ音源の制作協力として紹介するのは、ミュージシャンのAyase。掲載されたコメントでは、以前タワーの目の前の広場にあった噴水をイメージの土台に、歌舞伎町の鮮やかさや複雑さを音で表したと説明されている。建物と音源は、別々に見えて同じ街の風景を手掛かりにしていた。
ロゴの図形にも、噴水に加え、ピアノの鍵盤や音響機器のイコライザーを思わせる要素が含まれる。外観、ロゴ、音。それぞれを見る時の合言葉を「水」にすると、いつもの待ち合わせ場所にも小さな読み解きが生まれそうだ。次に通りかかったら、まずは低い位置のアーチや壁の模様から。用事のある階へ急ぐ前の数分だけ、タワーを大きな噴水の見立てで眺めてみるのも面白い。